犬の記憶のお話

前述のとおりママの話には虫や動物がよく出てくる。
虫は嫌いで動物は結構好きだ。
庭でひよどりの餌付けもしているが、えさを狙って来たカラスは傘で追い払う。
その場面のみ見るとあたかも
「近所に一人は居る名物婆さん(ハデバデしい色彩の服を好み、人や動物に敵対心を持ち、寄るものあらば怒鳴り散らす等が特徴)」のようになってしまうが
基本的にはかわいいお婆ちゃんである。

ママがまだ裕福で、旦那さんが存命であられた頃、犬を3匹飼っていた。
プチ子ちゃんとナポというヨークシャーテリアと、太郎という雑種。

太郎よ・・・!
なんというネーミングによる犬種差別。
しかも太郎のみ外で飼われていたという。

プチ子はメスで、ナポはオスだ。
「プチ子ちゃんとナポは仲が良かったんだけどね、子供なんて出来たら大変じゃない?それでちゃんと子供ができないようにしたの。」
「去勢手術ですか?」
「手術はしないんだけどね、パンツを履かせてたの。」
なんと無様且つ不完全な避妊方法だろうか。
どこが「ちゃんと」だ。
「まぁ、結局目を離した隙にパンツを脱いで子供が出来ちゃったんだけど。」
そうなるわな。
という感想を抱いた。

子供らは、無事当時のホステス達にもらわれて、大事にされているらしい。

ちなみに太郎の元には、近所のガラス店で飼われていたジャーマンシェパードが通うようになったらしい。
太郎よ、実はメスなのか?という更なる悲しい疑惑が胸をよぎった。