サンタクロースの仲間のお話

以前捨てられないサンタクロースの話はしたが、
ママの家にはそれ以外にも仲間が大勢いるようだ。
「うちはね、ソファーいっぱいにぬいぐるみがあるのよ。まず、こんな鳥ね。こんな形の鳥なのよ。」
指でカウンターテーブルに描いてくれる鳥の形状は、およそ鳥とは思えない。
ママにしては詳しく描いてくれようとしているのだが、いかんせん見当がつかない。
ひょうたん的な形の先端に、ささっと素早く小さく丸を描く。
仕上げの丸に並々ならぬこだわりを見せているが、果たして鳥のどの部分だ。
しかしこの動きを延々繰り返すもんだから納得せざるを得ない。

「あと黒いこんなの。大きくてね、目を開けたり閉じたりするの。」
形状は丸。
だいぶ大きい。
目を開けたり閉じたりするとは、赤ちゃん人形だろうか。
黒いというから黒人の?
「黒人じゃないのよ。こんな黒くて毛のもじゃもじゃ生えた。とにかく目を開けたり閉じたりするのよ。」
何度も大きな丸を描く。しょうがない、そういうものがあるのだろう。

「あと白い親子。」
「え、何の親子なんですか?」
「分からない。その隣に男女カップルのお人形が居るんだけど、その男の子がよそ見するもんだから、浮気しちゃだめよって直すのよ。靴も履かせて。冬は帽子とマフラーを付けるの。」
白い親子に対して相当愛情が薄いように思われる。
「そのお人形が立つとこんなくらい。」
初めてカウンターの面から手の高さで大きさを表現した。
おっと、予想以上にでかい。
80cmはあろうかというサイズだ。これが2体・・・。
というか、全体的にみなでかい。

「あと玄関にヨークシャーテリアの陶器の置物ね。
これはうちに来た人はみんな、入ってもわんちゃん大丈夫ですか?って聞くわね。
ネジを巻いておくと、ドアが開いたらワンワン吠えるの。うるさいからネジは巻いてないの。これのダックスフントをお客さんにあげたら、一人で帰っても迎えてくれる犬ができて嬉しいって言ってくださったの。」
だいぶコアなものをあげたようだが、気に入ってくれてよかった。

「それで、しばらくしてから『僕ダックスフントはあまり好きじゃないんだ』て言うのよ。言わなくてもいいじゃないねぇ?まぁ、私もあまり好きじゃないんだけど。」
 
 あああ。
 確かにもらってしばらくしてから言わないで欲しいな。